革製品の魅力は、使い込むほどに深まる経年 変化にある。色つやが増し、手に馴染み、持ち主の時間を映し出す。
縫製工場を率いる佐藤さんの歩みもまた、一人の職人としての「経年変化」そのものだ。
佐藤さんがこの業界に足を踏み入れたのは22歳。最初は
営業職として、職人と顧客をつなぐ立場からスタートし
た。まだ技術はなかったが、現場を行き来するうちに道具
や素材の知識が少しずつ積み重なり、やがてものづくりの
奥深さに魅了されていった。
TIDEWAYとの協業はもうすぐ20年に届く。
「『何を作りましょうか』というゼロからの対話で始まりました。紙に描いたラフスケッチが、数時間後には試作品になっていく。お互いのこだわりがぶつかり合う時間が楽しくて仕方なかった」
そのプロセスは佐藤さん自身の“ものを見る目”を磨いた。単に指示されたものを作るのではなく、デザインの意図を理解し、どうすれば魅力が最大化されるかを一緒に考えるようになったのだ。
「革と同じで、人も時間をかけて変わっていく。気づけば
自分も成長していました」
職人の高齢化が進む中、内製化と若手育成は避けて通れない課題だ。「若い人が定着するには、安定した仕事と収入が必要。そ
のためにも閑散期をどう埋めるかが勝負です」
革は、時間と共に深みを増す。人もまた、年月を経て厚みを増す。26年のキャリアを経た佐藤さんの言葉や作る製品には、その変化が 確かに刻まれている。
TIDEWAYのバッグが持ち主とともに時を重ねていくように、佐藤さんの歩みもまた、ブランドと共に進化し続けている。